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空知太神社事件最高裁判決
砂川市が市有地を空知太(そらちぶと)神社の敷地として無償で使用させていることが,
憲法の定める政教分離原則に違反するかが問題となった事件で,
最高裁は当該行為を違憲と判断しました(最大判平22.1.20)。

最高裁は以下のように述べています。
① 憲法89条の趣旨について
憲法89条は,公の財産を宗教上の組織又は団体の使用,便益若しくは維持のため,
その利用に供してはならない旨を定めている。
その趣旨は,国家が宗教的に中立であることを要求するいわゆる政教分離の原則を,
公の財産の利用提供等の財政的な側面において徹底させるところにあり,
これによって,憲法20条1項後段の規定する宗教団体に対する特権の付与の禁止を財政的側面からも確保し,
信教の自由の保障を一層確実なものにしようとしたものである。

※要約すれば,憲法89条は政教分離原則を財政的側面において徹底することで,
信教の自由の保障を一層確実なものにする趣旨だとしています。
通説に従った見解だといえます。

② 憲法89条の適用
しかし,国家と宗教とのかかわり合いには種々の形態があり,
およそ国又は地方公共団体が宗教との一切の関係を持つことが許されないというものではなく,
憲法89条も,公の財産の利用提供等における宗教とのかかわり合いが,
我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,
信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で
相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,
これを許さないとするものと解される。

※憲法89条も国と宗教との関係を一切認めないとする趣旨ではなく,
国と宗教とのかかわり合いが日本の社会的,文化的諸条件に照らし,
信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で
相当とされる限度を超えるような公の財産の利用提供等を許さないものだとしています。
津地鎮祭事件判決以来の判例の態度を踏襲しています。

③ 国公有地を無償で宗教的施設の敷地として使用させることの憲法適合性の判断基準
国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されているといっても,
当該施設の性格や来歴,無償提供に至る経緯,利用の態様等には
様々なものがあり得ることが容易に想定されるところである。
例えば,一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても,
同時に歴史的,文化財的な建造物として保護の対象となるものであったり,
観光資源,国際親善,地域の親睦の場などといった他の意義を有していたりすることも少なくなく,
それらの文化的あるいは社会的な価値や意義に着目して
当該施設が国公有地に設置されている場合もあり得よう。

※つまり最高裁は,国公有地を無償で宗教的施設の敷地として使用させることが,
直ちに憲法89条に違反するはしていません。
最高裁が例としてあげているように,
文化財保護や観光資源などといった宗教的意義とは別の意義(世俗的意義)を持っている場合には,
憲法89条に違反しないとしています。

我が国においては,明治初期以来,一定の社寺領を国等に上知(上地)させ,
官有地に編入し,又は寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって,
国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じた。
このような事例については,戦後,国有地につき
「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」・・・が公布され,
公有地についても同法と同様に譲与等の処分をすべきものとする内務文部次官通牒が発出された上,
これらによる譲与の申請期間が経過した後も,譲与,売払い,
貸付け等の措置が講じられてきたが,それにもかかわらず,現在に至っても,
なおそのような措置を講ずることができないまま社寺等の敷地となっている
国公有地が相当数残存していることがうかがわれるところである。
これらの事情のいかんは,当該利用提供行為が,
一般人の目から見て特定の宗教に対する援助等と評価されるか否かに影響するものと考えられるから,
政教分離原則との関係を考えるに当たっても,
重要な考慮要素とされるべきものといえよう。

※ 日本では戦前社寺の敷地が国公有地に編入されてきました。
戦後にそうした社寺の敷地は法律によって譲与などがなされたのですが,
現在でも譲与されないまま国公有地のままになっているものがたくさん存在しています。
こうしたことは国公有地の無償提供に対する一般人の評価に影響するので,
重要な考慮要素となるとしています。

国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が,
前記の見地から,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で
相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては,
当該宗教的施設の性格,当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,
当該無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,
社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。

※ そうした特殊な事情がありますので,最高裁は,
国公有地を無償で宗教的施設の使用させることが憲法89条に違反すかどうかを判断するにあたっては,
「当該宗教的施設の性格,当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,
当該無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,
社会通念に照らして総合的に判断すべき」としました。
この点は従来の判例よりも踏み込んだ判断をしました。
もっともこの点は前述したように
戦前における社寺の敷地の公有地への編入という特殊な事情を前提にしていますので,
政教分離原則一般の議論とすることはできないでしょう。

④ 空地太神社の敷地として無償で使用させることの憲法適合性
前記事実関係等によれば,本件鳥居,地神宮,「神社」と表示された会館入口から祠に至る本件神社物件は,
一体として神道の神社施設に当たるものと見るほかはない。
また,本件神社において行われている諸行事は,
地域の伝統的行事として親睦などの意義を有するとしても,
神道の方式にのっとって行われているその態様にかんがみると,
宗教的な意義の希薄な,単なる世俗的行事にすぎないということはできない。
このように,本件神社物件は,神社神道のための施設であり,
その行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われているものということができる。
本件神社物件を管理し,上記のような祭事を行っているのは,
本件利用提供行為の直接の相手方である本件町内会ではなく,本件氏子集団である。
本件氏子集団は,前記のとおり,町内会に包摂される団体ではあるものの,
町内会とは別に社会的に実在しているものと認められる。
そして,この氏子集団は,宗教的行事等を行うことを主たる目的としている宗教団体であって,
寄附を集めて本件神社の祭事を行っており,
憲法89条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に当たるものと解される。
しかし,本件氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を町内会に支払うほかは,
本件神社物件の設置に通常必要とされる対価を何ら支払うことなく,
その設置に伴う便益を享受している。
すなわち,本件利用提供行為は,その直接の効果として,
氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にしているものということができる。
そうすると,本件利用提供行為は,市が,
何らの対価を得ることなく本件各土地上に宗教的施設を設置させ,
本件氏子集団においてこれを利用して宗教的活動を行うことを容易にさせているものといわざるを得ず,
一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,
これを援助していると評価されてもやむを得ないものである。

※ 長くなりましたので要約しますと,
空地太神社は神道の神社施設であり,
そこで行われている諸行事も神道に基づく宗教的行事である。
市が市有地を使用させている氏子集団も宗教団体である。
その氏子集団に市が市有地を無償で使用させることは,
氏子集団が市有地に宗教施設を設置し,これを利用して宗教的活動を行うことを容易にしているので,
一般人の目からしても,これは市が特定の宗教を援助していると評価されるとしたのです。

⑤ 結 論
以上のような事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すると,
本件利用提供行為は,市と本件神社ないし神道とのかかわり合いが,
我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で
相当とされる限度を超えるものとして,
憲法89条の禁止する公の財産の利用提供に当たり,
ひいては憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権の付与にも該当する
と解するのが相当である。

※ 以上のことを考慮した結果,最高裁は
砂川市が市有地を空地太神社の敷地として無償で使用させていることは,
憲法89条に違反し,さらに憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権付与にも該当する
と判断しました。

※ ただし,原告は砂川市が神社施設の撤去などを行わないことの違法性の確認を求めていましたが,
この点について最高裁は,
違憲状態の是正手段は神社施設の撤去以外にも,
市有地の譲与などの手段があるたため,
市が神社施設の撤去を行わないことが直ちに違法とはいえないとしました。
このためこの点について下級審は適切に審理していないとして,
事件を下級審に審理のやりなおしを命じました。

※ この事件とは別に砂川市が富平神社の敷地として使用されている市有地を,
富平町内会に無償で譲与したことが政教分離原則に違反するかが問題となりました。
この点について最高裁は,
なお,本件譲与は政教分離原則違反を解消するために行われたものであるから,
憲法20条・89条に違反しないと判断しました(最大判平22.1.20)。

※ 試験対策的には特に東京都の時事問題で出題される可能性が高いと思われますので,
ぜひ勉強しておきましょう。
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2010'01'24(Sun)14:59 [ 試験勉強 ] CM0. TB0 . TOP ▲
参議院議員定数不均衡事件
参議院の議員定数不均衡事件に関する新しい判例(最判平成21.9.30)

が出たので紹介します。

これは参議院議員1人あたりの有権者の数に大きな差があるのが,

法の下の平等に反するのではないかが問題となっています。

問題を単純化しますと,

ある選挙区では10万人で1人の国会議員を選んでいるのに,

他の選挙区では50万人で1人の国会議員を選ぶのは不平等ではないかというものです。

10万人で1人の国会議員を選べるのであれば,

50万人なら5人の国会議員を選べるはずですよね?

それなのに1人しか選べないのは不平等ではないかというわけです。



さてそこでこれまでの参議院の議員定数不均衡問題の変遷を見てみます。

最初に参議院議員選挙法(現在の公職選挙法の前身)制定当時(1947年)は,

議員定数の格差は1:2.62でした。

しかしその後格差はどんどん拡大し,

1992年の参議院議員通常選挙においては1:6.59にまで拡大しました。

これはさすがにまずいだろうということになって,

1994年に8増8減の定数配分規定の改正を行い,

格差は1:4.81まで縮小しました。

実際最高裁判所も1992年選挙における格差1:6.59は違憲状態にあると判断しました

(最大判平成8.9.11)。

(ただし,最高裁は1992年当時議員定数配分規定は違憲状態にはあったものの,

その6年前の選挙の時点では格差が1:5.85と違憲状態にはなかったことなどから,

議員定数配分規定を是正しなかったことが立法裁量の限界を超えるものとはいえず,

したがって議員定数配分規定は違憲ではないと判断したことには注意が必要です)。



その改正後に行われた1995年の通常選挙においての格差は1:4.97で,

最高裁はこの程度の格差であれば議員定数配分規定は合憲と判断しました(最大判平成10.9.2)。



さらに2000年には参議院の定数を252から242に削減する際に,

選挙区選出議員の定数を6人削減するのですが,

このとき定数4人の選挙区で最も人口の少ない3選挙区の定数を2人ずつ削減することで,

定数4人の選挙区より定数2人の選挙区の方が人口が多いという,

いわゆる逆転現象が解消されることになります。

ただこの改正では,人口最大の選挙区と最小の選挙区の定数は変わらないため,

格差は是正されませんでした。



このため格差はまた拡大し,

2001年の通常選挙においては格差が1:5.06となってしまいます。

これに対して最高裁は,まだ違憲状態にはなっていないと判断しますが(最大判平成16.1.14),

これには6人の裁判官が反対し(8人違憲と言えば違憲判決が出ますので結構ギリギリ),

しかも合憲判断をした9人の裁判官のうち4人の裁判官に,

仮に次回選挙においてもなお,国会が何もしないで漫然と現在の状況が維持されたままであれば,

立法裁量権を逸脱したものとして違憲判断がなさるべき余地は,

十分に存在するとまで言われてしまいました。

つまりこのまま何もしないで次の選挙を行えば,

4人の裁判官は合憲から違憲に変わるわけですので,

違憲とする裁判官は10人となり違憲判決が出ることになります。



そこで参議院は2004年に選挙制度に関する専門委員会を設置します。

そこでは①4増4減案,②14増14減案,③現行の選挙制度自体の見直し,

などの案が検討されましたが,

結局①4増4減案が採用されました。

これを受けて2006年に議員定数配分規定が改正され,

格差は1:4.84にまで縮小されます。



もっとも前述の専門委員会は現行の選挙制度を維持する限り,

格差を1:4以内に抑えることは困難であるとしています。

実はこの点が今回の判決のポイントとなります。



そして今回問題となったのが2007年の通常選挙です。

この選挙での格差は1:4.86でした。

この点について最高裁は,

①2006年の改正で格差が1:5.13から1:4.86に縮小されている,

②現行の選挙制度の仕組みを大きく変更するには相応の時間が必要なので,

2006年改正から2007年の通常選挙までにその見直しをするのは極めて困難であった

ということを理由に議員定数配分規定は合憲であると判断しました。



ところが最高裁は続けて次のようなことも述べました。

2006年の改正の結果によっても残ることとなった1:4.86という格差は,

投票価値の平等という観点からは大きな不平等が状態であるので,

選挙区間における選挙人の投票価値の格差の縮小を図ることが求められる状況にある。

ただ,前述の専門委員会の意見でも述べられているように,

現行の選挙制度の仕組みを維持する限り,

各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは,

格差の大幅な縮小を図ることは困難であるので,

これを行うためには,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる。

このような見直しを行うためには,

参議院のあり方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要であり,

事柄の性質上課題も多く,その検討に相応の時間を要することは認めざるを得ないが,

国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,

投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると,

国会において,速やかに,投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて,

適切な検討が行われることが望まれる。


簡単に言えば,最高裁は参議院に対して,

現在の選挙制度の仕組みでは,

専門委員会の意見にあるように格差を縮小するのは無理だから,

選挙制度の仕組み自体の見直しを早く行いなさいと言ったのです。

最高裁判所が参議院に対して命令するようなものですので,

(判決文はあくまで「望まれる」という表現ですので,

実際には命令というほどの強い意味ではありません),

これまでにない画期的な内容となったわけです。

2009'10'15(Thu)08:08 [ 試験勉強 ] CM2. TB0 . TOP ▲
試験によく出る憲法判例2 法の下の平等2
2 議員定数不均衡事件
 ◆ 問題の所在
  国会議員1人あたりの有権者数が異なるのは,投票価値の平等を害しているので,
  そのようなもとでの選挙は違憲・無効はないか?
 ◆ 判決のポイント
  ☆ 投票価値の平等も憲法上保障されているか?
   保障されている
  ☆ 投票価値の平等は完全に同一であることが要求されているか?
   要求されていない
     ↓ただし
   投票価値の不平等が生じる場合,そのことについて合理的理由が必要
  ☆ 投票価値の不平等状態が生じた場合,直ちに議員定数配分規定は違憲となるか?
   直ちには違憲とはならない
   →合理的期間をすぎても是正されない場合に違憲となる
  ☆ 不平等な議員定数配分規定は一部違憲か全部違憲か?
   全部違憲
  ☆ 不平等状態で行われた選挙は無効か?
   選挙は違憲だが有効
   →事情判決の法理
 ◆ 判決文
  ☆ 投票価値の平等は憲法上保障されているか?
   憲法14条1項に定める法の下の平等は,選挙権に関しては,国民はすべて
   政治的価値において平等であるべきであるとする徹底した平等化を
   志向するものであり,右15条1項等の各規定の文言上は単に選挙人資格における
   差別の禁止が定められているにすぎないけれども,単にそれだけにとどまらず,
   選挙権の内容,すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた,
   憲法の要求するところであると解するのが,相当である。
  ☆ 投票価値の平等は完全に同一であることが要求されているか?
   投票価値の平等は,各投票が選挙の結果に及ぼす影響力が
   数字的に完全に同一であることまでも要求するものと考えることはできない。
   けだし,投票価値は,選挙制度の仕組みと密接に関連し,
   その仕組みのいかんにより,結果的に右のような投票の影響力に
   何程かの差異を生ずることがあるのを免れないからである。
   代表民主制の下における選挙制度は,選挙された代表者を通じて,
   国民の利害や意見が公正かつ効果的に国政の運営に反映されることを目標とし,
   他方,政治における安定の要請をも考慮しながら,それぞれの国において,
   その国の事情に即して具体的に決定されるべきものであり,
   そこに論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけのものではない。
   わが憲法もまた,右の理由から,国会両議院の議員の選挙については,
   議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は
   法律で定めるべきものとし(43条2項,47条),両議院の議員の各選挙制度の仕組みの
   具体的決定を原則として国会の裁量にゆだねているのである。
   それ故,憲法は,前記投票価値の平等についても,これをそれらの選挙制度の
   決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく,
   国会は,衆議院及び参議院それぞれについて
   他にしんしやくすることのできる事項をも考慮して,
   公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を
   具体的に決定することができるのであり,投票価値の平等は,
   さきに例示した選挙制度のように明らかにこれに反するもの,
   その他憲法上正当な理由となりえないことが明らかな
   人種,信条,性別等による差別を除いては,原則として,
   国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において
   調和的に実現されるべきものと解さなければならない。
   もつとも,このことは,平等選挙権の一要素としての投票価値の平等が,
   単に国会の裁量権の行使の際における考慮事項の一つであるにとどまり,
   憲法上の要求としての意義と価値を有しないことを意味するものではない。
   投票価値の平等は,常にその絶対的な形における実現を
   必要とするものではないけれども,国会がその裁量によつて決定した
   具体的な選挙制度において現実に投票価値に不平等の結果が生じている場合には,
   それは,国会が正当に考慮することのできる重要な
   政策的目的ないしは理由に基づく結果として合理的に是認することができるもの
   でなければならないと解されるのであり,その限りにおいて
   大きな意義と効果を有するのである。
  ☆ 投票価値の不平等状態が生じた場合,ただちに議員定数配分規定は違憲となるか?
   人口の異動は不断に生じ,したがつて選挙区における人口数と議員定数との比率も
   絶えず変動するのに対し,選挙区割と議員定数の配分を頻繁に変更することは,
   必ずしも実際的ではなく,また,相当でもないことを考えると,
   右事情によつて具体的な比率の偏差が選挙権の平等の要求に反する程度と
   なつたとしても,これによつて直ちに当該議員定数配分規定を憲法違反と
   すべきものではなく,人口の変動の状態をも考慮して合理的期間内における是正が
   憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて
   憲法違反と断ぜられるべきものと解するのが,相当である。
  ☆ 不平等な議員定数配分規定は一部違憲か全部違憲か?
   選挙区割及び議員定数の配分は,議員総数と関連させながら,
   前述のような複雑,微妙な考慮の下で決定されるのであつて,
   一旦このようにして決定されたものは,一定の議員総数の各選挙区への配分として,
   相互に有機的に関連し,一の部分における変動は他の部分にも波動的に
   影響を及ぼすべき性質を有するものと認められ,その意味において
   不可分の一体をなすと考えられるから,右配分規定は,
   単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく,
   全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。
  ☆ 不平等状態で行われた選挙は無効か?
   本件議員定数配分規定についてみると,右規定が憲法に違反し,
   したがつてこれに基づいて行われた選挙が憲法の要求に沿わないもの
   であることは前述のとおりであるが,そうであるからといつて,
   右規定及びこれに基づく選挙を当然に無効であると解した場合,
   これによつて憲法に適合する状態が直ちにもたらされるわけではなく,
   かえつて,右選挙により選出された議員がすべて当初から
   議員としての資格を有しなかつたこととなる結果,
   すでに右議員によつて組織された衆議院の議決を経たうえで成立した
   法律等の効力にも問題が生じ,また,今後における衆議院。活動が不可能となり,
   前記規定を憲法に適合するように改正することさえもできなくなるという
   明らかに憲法の所期しない結果を生ずるのである。それ故,
   右のような解釈をとるべきでないことは,極めて明らかである。
   これらの事情等を考慮するときは,本件においては,前記の法理にしたがい,
   本件選挙は憲法に違反する議員定数配分規定に基づいて行われた点において
   違法である旨を判示するにとどめ,選挙自体はこれを無効としないこととするのが,
   相当であり,そしてまた,このような場合においては,
   選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに,
   当該選挙が違法である旨を主文で宣言するのが,相当である。
2009'08'13(Thu)22:50 [ 試験勉強 ] CM0. TB0 . TOP ▲
試験によく出る憲法判例1 法の下の平等1
今日から不定期ですが,公務員試験によく出題される憲法判例を
解説していきたいと思います。

まずは法の下の平等に関する判例からです。

1 尊属殺人罪の合憲性
 ◆ 問題の所在
  ・刑法199条(事件当時)…普通殺人罪
    人を殺した者は,死刑または無期もしくは3年以上の懲役
    ※現在は,死刑または無期もしくは5年以上の懲役に改正されています
  ・刑法200条(事件当時)…尊属殺人罪
    自己または配偶者の直系尊属を殺した者は,死刑または無期懲役
     ※ 尊属…自分より上の世代の親族 例 親,祖父母
    ↓
  ・被害者が他人
   →死刑または無期もしくは3年以上の懲役
  ・被害者が親
   →死刑または無期懲役
  →不合理な差別ではないか?
 ◆ 判決のポイント
  ☆ 尊属殺人罪の立法目的
   尊属に対する尊重報恩という普遍的倫理の維持
   →合理性あり
  ☆ 目的達成手段
   死刑または無期懲役
   →著しく不合理
  ☆ 結 論
   尊属殺人罪は法の下の平等に反し違憲
 ◆ 判決文
  ☆ 尊属殺人罪の立法目的
   刑法200条の立法目的は,
   尊属を卑属またはその配偶者が殺害することをもつて
   一般に高度の社会的道義的非難に値するものとし,
   かかる所為を通常の殺人の場合より厳重に処罰し,
   もつて特に強くこれを禁圧しようとするにあるものと解される。
   ところで,およそ,親族は,婚姻と血縁とを主たる基盤とし,
   互いに自然的な敬愛と親密の情によつて結ばれていると同時に,
   その間おのずから長幼の別や責任の分担に伴う一定の秩序が存し,
   通常,卑属は父母,祖父母等の直系尊属により養育されて成人するのみならず,
   尊属は,社会的にも卑属の所為につき法律上,道義上の責任を負うのであつて,
   尊属に対する尊重報恩は,社会生活上の基本的道義というべく,
   このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は,
   刑法上の保護に値するものといわなければならない。
   しかるに,自己または配偶者の直系尊属を殺害するがごとき行為は
   かかる結合の破壊であつて,それ自体人倫の大本に反し,
   かかる行為をあえてした者の背倫理性は特に重い非難に値するということができる。
   このような点を考えれば,尊属の殺害は通常の殺人に比して
   一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして,
   このことをその処罰に反映させても,あながち不合理であるとはいえない。
   そこで,被害者が尊属であることを犯情のひとつとして
   具体的事件の量刑上重視することは許されるものであるのみならず,
   さらに進んでこのことを類型化し,法律上,刑の加重要件とする規定を設けても,
   かかる差別的取扱いをもつて
   ただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできず,
   したがつてまた,憲法14条1項に違反するということもできない
ものと解する。
  ☆ 目的達成手段
   普通殺のほかに尊属殺という特別の罪を設け,その刑を加重すること自体は
   ただちに違憲であるとはいえないのであるが,
   しかしながら,刑罰加重の程度いかんによつては,
   かかる差別の合理性を否定すべき場合がないとはいえない。
   すなわち,加重の程度が極端であつて,
   前示のごとき立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,
   これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは,
   その差別は著しく不合理なものといわなければならず,
   かかる規定は憲法14条1項に違反して無効であるとしなければならない。
   この観点から刑法200条をみるに,
   同条の法定刑は死刑および無期懲役刑のみであり,
   普通殺人罪に関する同法199条の法定刑が,
   死刑,無期懲役刑のほか3年以上の有期懲役刑となつているのと比較して,
   刑種選択の範囲が極めて重い刑に限られていることは明らかである。
   もつとも,現行刑法にはいくつかの減軽規定が存し,
   これによつて法定刑を修正しうるのであるが,
   現行法上許される2回の減軽を加えても,
   尊属殺につき有罪とされた卑属に対して刑を言い渡すべきときには,
   処断刑の下限は懲役3年6月を下ることがなく,その結果として,
   いかに酌量すべき情状があろうとも
   法律上刑の執行を猶予することはできないのであり,
   普通殺の場合とは著しい対照をなすものといわなければならない。
   もとより,卑属が,責むべきところのない尊属を故なく殺害するがごときは
   厳重に処罰すべく,いささかも仮借すべきではないが,
   かかる場合でも普通殺人罪の規定の適用によつて
   その目的を達することは不可能ではない。
   その反面,尊属でありながら卑属に対して非道の行為に出で,
   ついには卑属をして尊属を殺害する事態に立ち至らしめる事例も見られ,
   かかる場合,卑属の行為は必ずしも現行法の定める
   尊属殺の重刑をもつて臨むほどの峻厳な非難には
   値しないものということができる。
   このようにみてくると,尊属殺の法定刑は,
   それが死刑または無期懲役刑に限られている点

   (現行刑法上,これは外患誘致罪を除いて最も重いものである。)
   においてあまりにも厳しいものというべく,
   上記のごとき立法目的,すなわち,
   尊属に対する敬愛や報恩という
   自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重の観点のみをもつてしては,
   これにつき十分納得すべき説明がつきかねるところであり,
   合理的根拠に基づく差別的取扱いとして正当化することはとうていできない
。 
  ☆ 結 論
   刑法200条は,尊属殺の法定刑を
   死刑または無期懲役刑のみに限つている点において,
   その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え,
   普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し
   著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ,
   憲法14条1項に違反して無効
であるとしなければならず,
   したがつて,尊属殺にも刑法199条を適用するのほかはない。
2009'07'26(Sun)00:25 [ 試験勉強 ] CM0. TB0 . TOP ▲
    


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