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参議院議員定数不均衡事件
参議院の議員定数不均衡事件に関する新しい判例(最判平成21.9.30)

が出たので紹介します。

これは参議院議員1人あたりの有権者の数に大きな差があるのが,

法の下の平等に反するのではないかが問題となっています。

問題を単純化しますと,

ある選挙区では10万人で1人の国会議員を選んでいるのに,

他の選挙区では50万人で1人の国会議員を選ぶのは不平等ではないかというものです。

10万人で1人の国会議員を選べるのであれば,

50万人なら5人の国会議員を選べるはずですよね?

それなのに1人しか選べないのは不平等ではないかというわけです。



さてそこでこれまでの参議院の議員定数不均衡問題の変遷を見てみます。

最初に参議院議員選挙法(現在の公職選挙法の前身)制定当時(1947年)は,

議員定数の格差は1:2.62でした。

しかしその後格差はどんどん拡大し,

1992年の参議院議員通常選挙においては1:6.59にまで拡大しました。

これはさすがにまずいだろうということになって,

1994年に8増8減の定数配分規定の改正を行い,

格差は1:4.81まで縮小しました。

実際最高裁判所も1992年選挙における格差1:6.59は違憲状態にあると判断しました

(最大判平成8.9.11)。

(ただし,最高裁は1992年当時議員定数配分規定は違憲状態にはあったものの,

その6年前の選挙の時点では格差が1:5.85と違憲状態にはなかったことなどから,

議員定数配分規定を是正しなかったことが立法裁量の限界を超えるものとはいえず,

したがって議員定数配分規定は違憲ではないと判断したことには注意が必要です)。



その改正後に行われた1995年の通常選挙においての格差は1:4.97で,

最高裁はこの程度の格差であれば議員定数配分規定は合憲と判断しました(最大判平成10.9.2)。



さらに2000年には参議院の定数を252から242に削減する際に,

選挙区選出議員の定数を6人削減するのですが,

このとき定数4人の選挙区で最も人口の少ない3選挙区の定数を2人ずつ削減することで,

定数4人の選挙区より定数2人の選挙区の方が人口が多いという,

いわゆる逆転現象が解消されることになります。

ただこの改正では,人口最大の選挙区と最小の選挙区の定数は変わらないため,

格差は是正されませんでした。



このため格差はまた拡大し,

2001年の通常選挙においては格差が1:5.06となってしまいます。

これに対して最高裁は,まだ違憲状態にはなっていないと判断しますが(最大判平成16.1.14),

これには6人の裁判官が反対し(8人違憲と言えば違憲判決が出ますので結構ギリギリ),

しかも合憲判断をした9人の裁判官のうち4人の裁判官に,

仮に次回選挙においてもなお,国会が何もしないで漫然と現在の状況が維持されたままであれば,

立法裁量権を逸脱したものとして違憲判断がなさるべき余地は,

十分に存在するとまで言われてしまいました。

つまりこのまま何もしないで次の選挙を行えば,

4人の裁判官は合憲から違憲に変わるわけですので,

違憲とする裁判官は10人となり違憲判決が出ることになります。



そこで参議院は2004年に選挙制度に関する専門委員会を設置します。

そこでは①4増4減案,②14増14減案,③現行の選挙制度自体の見直し,

などの案が検討されましたが,

結局①4増4減案が採用されました。

これを受けて2006年に議員定数配分規定が改正され,

格差は1:4.84にまで縮小されます。



もっとも前述の専門委員会は現行の選挙制度を維持する限り,

格差を1:4以内に抑えることは困難であるとしています。

実はこの点が今回の判決のポイントとなります。



そして今回問題となったのが2007年の通常選挙です。

この選挙での格差は1:4.86でした。

この点について最高裁は,

①2006年の改正で格差が1:5.13から1:4.86に縮小されている,

②現行の選挙制度の仕組みを大きく変更するには相応の時間が必要なので,

2006年改正から2007年の通常選挙までにその見直しをするのは極めて困難であった

ということを理由に議員定数配分規定は合憲であると判断しました。



ところが最高裁は続けて次のようなことも述べました。

2006年の改正の結果によっても残ることとなった1:4.86という格差は,

投票価値の平等という観点からは大きな不平等が状態であるので,

選挙区間における選挙人の投票価値の格差の縮小を図ることが求められる状況にある。

ただ,前述の専門委員会の意見でも述べられているように,

現行の選挙制度の仕組みを維持する限り,

各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは,

格差の大幅な縮小を図ることは困難であるので,

これを行うためには,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる。

このような見直しを行うためには,

参議院のあり方をも踏まえた高度に政治的な判断が必要であり,

事柄の性質上課題も多く,その検討に相応の時間を要することは認めざるを得ないが,

国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,

投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると,

国会において,速やかに,投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて,

適切な検討が行われることが望まれる。


簡単に言えば,最高裁は参議院に対して,

現在の選挙制度の仕組みでは,

専門委員会の意見にあるように格差を縮小するのは無理だから,

選挙制度の仕組み自体の見直しを早く行いなさいと言ったのです。

最高裁判所が参議院に対して命令するようなものですので,

(判決文はあくまで「望まれる」という表現ですので,

実際には命令というほどの強い意味ではありません),

これまでにない画期的な内容となったわけです。

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2009'10'15(Thu)08:08 [ 試験勉強 ] CM2. TB0 . TOP ▲
    


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