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試験によく出る憲法判例1 法の下の平等1
今日から不定期ですが,公務員試験によく出題される憲法判例を
解説していきたいと思います。

まずは法の下の平等に関する判例からです。

1 尊属殺人罪の合憲性
 ◆ 問題の所在
  ・刑法199条(事件当時)…普通殺人罪
    人を殺した者は,死刑または無期もしくは3年以上の懲役
    ※現在は,死刑または無期もしくは5年以上の懲役に改正されています
  ・刑法200条(事件当時)…尊属殺人罪
    自己または配偶者の直系尊属を殺した者は,死刑または無期懲役
     ※ 尊属…自分より上の世代の親族 例 親,祖父母
    ↓
  ・被害者が他人
   →死刑または無期もしくは3年以上の懲役
  ・被害者が親
   →死刑または無期懲役
  →不合理な差別ではないか?
 ◆ 判決のポイント
  ☆ 尊属殺人罪の立法目的
   尊属に対する尊重報恩という普遍的倫理の維持
   →合理性あり
  ☆ 目的達成手段
   死刑または無期懲役
   →著しく不合理
  ☆ 結 論
   尊属殺人罪は法の下の平等に反し違憲
 ◆ 判決文
  ☆ 尊属殺人罪の立法目的
   刑法200条の立法目的は,
   尊属を卑属またはその配偶者が殺害することをもつて
   一般に高度の社会的道義的非難に値するものとし,
   かかる所為を通常の殺人の場合より厳重に処罰し,
   もつて特に強くこれを禁圧しようとするにあるものと解される。
   ところで,およそ,親族は,婚姻と血縁とを主たる基盤とし,
   互いに自然的な敬愛と親密の情によつて結ばれていると同時に,
   その間おのずから長幼の別や責任の分担に伴う一定の秩序が存し,
   通常,卑属は父母,祖父母等の直系尊属により養育されて成人するのみならず,
   尊属は,社会的にも卑属の所為につき法律上,道義上の責任を負うのであつて,
   尊属に対する尊重報恩は,社会生活上の基本的道義というべく,
   このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は,
   刑法上の保護に値するものといわなければならない。
   しかるに,自己または配偶者の直系尊属を殺害するがごとき行為は
   かかる結合の破壊であつて,それ自体人倫の大本に反し,
   かかる行為をあえてした者の背倫理性は特に重い非難に値するということができる。
   このような点を考えれば,尊属の殺害は通常の殺人に比して
   一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして,
   このことをその処罰に反映させても,あながち不合理であるとはいえない。
   そこで,被害者が尊属であることを犯情のひとつとして
   具体的事件の量刑上重視することは許されるものであるのみならず,
   さらに進んでこのことを類型化し,法律上,刑の加重要件とする規定を設けても,
   かかる差別的取扱いをもつて
   ただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできず,
   したがつてまた,憲法14条1項に違反するということもできない
ものと解する。
  ☆ 目的達成手段
   普通殺のほかに尊属殺という特別の罪を設け,その刑を加重すること自体は
   ただちに違憲であるとはいえないのであるが,
   しかしながら,刑罰加重の程度いかんによつては,
   かかる差別の合理性を否定すべき場合がないとはいえない。
   すなわち,加重の程度が極端であつて,
   前示のごとき立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,
   これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは,
   その差別は著しく不合理なものといわなければならず,
   かかる規定は憲法14条1項に違反して無効であるとしなければならない。
   この観点から刑法200条をみるに,
   同条の法定刑は死刑および無期懲役刑のみであり,
   普通殺人罪に関する同法199条の法定刑が,
   死刑,無期懲役刑のほか3年以上の有期懲役刑となつているのと比較して,
   刑種選択の範囲が極めて重い刑に限られていることは明らかである。
   もつとも,現行刑法にはいくつかの減軽規定が存し,
   これによつて法定刑を修正しうるのであるが,
   現行法上許される2回の減軽を加えても,
   尊属殺につき有罪とされた卑属に対して刑を言い渡すべきときには,
   処断刑の下限は懲役3年6月を下ることがなく,その結果として,
   いかに酌量すべき情状があろうとも
   法律上刑の執行を猶予することはできないのであり,
   普通殺の場合とは著しい対照をなすものといわなければならない。
   もとより,卑属が,責むべきところのない尊属を故なく殺害するがごときは
   厳重に処罰すべく,いささかも仮借すべきではないが,
   かかる場合でも普通殺人罪の規定の適用によつて
   その目的を達することは不可能ではない。
   その反面,尊属でありながら卑属に対して非道の行為に出で,
   ついには卑属をして尊属を殺害する事態に立ち至らしめる事例も見られ,
   かかる場合,卑属の行為は必ずしも現行法の定める
   尊属殺の重刑をもつて臨むほどの峻厳な非難には
   値しないものということができる。
   このようにみてくると,尊属殺の法定刑は,
   それが死刑または無期懲役刑に限られている点

   (現行刑法上,これは外患誘致罪を除いて最も重いものである。)
   においてあまりにも厳しいものというべく,
   上記のごとき立法目的,すなわち,
   尊属に対する敬愛や報恩という
   自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重の観点のみをもつてしては,
   これにつき十分納得すべき説明がつきかねるところであり,
   合理的根拠に基づく差別的取扱いとして正当化することはとうていできない
。 
  ☆ 結 論
   刑法200条は,尊属殺の法定刑を
   死刑または無期懲役刑のみに限つている点において,
   その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え,
   普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し
   著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ,
   憲法14条1項に違反して無効
であるとしなければならず,
   したがつて,尊属殺にも刑法199条を適用するのほかはない。
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2009'07'26(Sun)00:25 [ 試験勉強 ] CM0. TB0 . TOP ▲
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